「夏は牝馬を買えってよく聞くけど、本当に当たるの?」「ただの昔の迷信やオカルトじゃないの?」と半信半疑になっている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、なぜ夏になると牝馬を買えと言われるようになったのか、また夏に印象的な走りを見せた代表的な馬についても解説していきます。競馬の格言に興味がある競馬ファンには必見の内容ですので、ぜひご覧ください。
「夏は牝馬(ひんば)を買え」とは?

「夏は牝馬(ひんば)を買え」とは、暑さが厳しい日本の夏競馬において、牡馬(おすうま)よりも牝馬(ひんば)の方が能力を発揮しやすく、激走しやすいという競馬界の格言です。
主に7月〜8月のローカル開催期に使われます。この格言には、牝馬は牡馬に比べて夏バテしにくく体調を維持しやすいという説や、皮膚が薄いため体温調節が得意であるという説など、さまざまな諸説があります。
なぜ「夏は牝馬(ひんば)を買え」と言われるようになった?
なぜ夏競馬では牡馬よりも牝馬を買えと言われるようになったのでしょうか。
以下では、代表的な理由を2つ解説していきます。
牡馬よりも牝馬は夏バテしにくい
理由の一つとして、牡馬よりも牝馬のほうが暑熱環境で体調を崩しにくいことが挙げられます。
牡馬は筋肉量が多く、運動時に発生する熱量が大きいため、体内に熱がこもりやすい特徴があります。また、暑さによるストレスで食欲が落ちやすく、夏バテにつながるケースも少なくありません。
一方、牝馬は牡馬に比べて筋肉量が控えめで、運動時の発熱が相対的に少ないため、暑熱環境でも体調を維持しやすい傾向があります。さらに、牝馬の発情周期は春に強く現れ、夏場はホルモンバランスが安定しやすいため、精神的に落ち着いてレースに臨めると考えられています。
斤量の恩恵を受けることが多い
競馬では牝馬に牡馬より一律2kg軽い負担重量が与えられるというルールがあり、これが夏競馬で牝馬に有利に働くことがあります。
夏のローカル開催ではハンデ重賞が多く、実績の少ない牝馬は51〜53kgといった軽い斤量を課されるケースが増えます。軽い斤量は加速や持続力に影響しやすく、特にスピードが活きる夏場の馬場では、牝馬が本来のパフォーマンスを発揮しやすくなるでしょう。
一方、実績のある牡馬はハンデ戦で57〜58kg以上の重い斤量を背負うことが多く、レース後半の伸びに影響する場合も少なくありません。夏場は暑さによる体力消耗も加わるため、重い斤量を背負う牡馬にとっては二重の意味で厳しい条件となることも多く、夏競馬では牝馬の斤量の軽さがプラスに働くと言われています。
「夏は牝馬(ひんば)を買え」を体現した代表馬
ここでは、まさにこの格言を証明するかのように、夏の重賞で素晴らしい走りを見せてくれた近年の代表的な「夏女」たちを3頭ご紹介します。
オールアットワンス(2021・2023年アイビスサマーダッシュ)
まず1頭目は、夏の新潟重賞名物「アイビスサマーダッシュ(G3)」を2勝したオールアットワンスです。オールアットワンスは競走生活で計4勝を挙げましたが、そのうち3勝が7月・夏のレースという、まさに夏に強い牝馬でした。
アイビスサマーダッシュの成績を振り返ると、3歳時の2021年は石川騎手も「51kgの斤量が味方した」と語るように、軽量を活かして年長馬を撃破。2勝目となった2023年は、丸1年の長期休養明けでぶっつけ本番というローテーションながら9番人気で激走し、3連単80万馬券という大波乱を巻き起こしました。
軽量が追い風となった3歳時だけでなく、本来なら厳しいはずの長期休養明けでも勝利をつかみ取った姿は、まさに「夏は牝馬」という格言を体現した一頭だったと言えます。

2023年レジェーロ本命で爆死した苦い記憶が…
まさか激走するとは思いませんでした(笑)
テイエムスパーダ(2022年CBC賞)
2頭目は、「2022年のCBC賞(G3)」を制したテイエムスパーダです。
このレースで大きな話題を呼んだのが、当時ルーキーだった今村聖奈騎手とのコンビと、「48kg」という超軽量ハンデです。レースでは開幕週の絶好馬場を味方に猛スピードでハナを奪うと、直線では今村騎手が「モニターを見てセーフティーリードだと思った」と振り返るほど後続を突き放し、見事な逃げ切り勝ちを収めました。
勝ちタイムの1分05秒8は芝1200mの日本レコードを更新する異次元の快速で、新人女性騎手による重賞初騎乗・初勝利という歴史的快挙とも相まって、競馬ファンを大いに驚かせました。

インタビューでの今村ジョッキーの
肝の座り具合に驚いた思い出です
あとタイムも驚愕!
モズメイメイ(2024年アイビスサマーダッシュ)
3頭目は、「2024年のアイビスサマーダッシュ(G3)」を制したモズメイメイです。モズメイメイは3歳春に「チューリップ賞(G2)」や「葵ステークス(G3)」を快勝するなど、早い段階から実績を積んでいた馬でしたが、その後は2桁着順が続く長いスランプに陥っていました。
しかし4歳の夏を迎えると、6月の北九州記念で3着と復調の気配を見せ、続くアイビスサマーダッシュでは3番人気に支持されると、大外枠から見事な復活Vを飾りました。国分騎手が「馬の力で勝たせてもらった」と感謝を口にしたように、秋から春にかけての不振が嘘のように、夏場で心身ともにベストコンディションを取り戻した結果の勝利でした。
スランプ中の実力馬であっても、夏競馬ではノーマークにできないことを改めて教えてくれた、見事な復活劇だったと言えます。

爆速スタートでお馴染みモズメイメイ。
キャリア初期から追いかけていた馬だったので、
復活が嬉しかったですね。
まとめ
今回の記事では、夏競馬における格言「夏は牝馬を買え」について解説しました。この時期は、暑さに強いタフな体の仕組みや、ハンデ戦での斤量の恩恵など、牝馬が秘めたスピードを最高潮に発揮できる季節です。
「長期休養明けでも夏女の底力を信じて一発逆転を狙いたい」「軽量ハンデを活かした驚異のレコード決着を目撃したい」など、競馬ファンそれぞれの視点で夢のある馬券を組み立てられるのも、夏競馬ならではの醍醐味と言えるでしょう。
パドックで見せる毛艶や歩様といった小さなサインも見逃さないようにしながら、ぜひお気に入りの「夏女」を見つけて、万馬券が飛び交う熱いシーズンを全力で楽しみましょう!

